公開日: 2024年10月09日 / 更新日: 2025年03月06日
近年、採用市場は急速な変化を遂げており、企業は従来の採用手法にとらわれることなく、新しい戦略や手法を積極的に模索し続けています。この変化は、テクノロジーの進化、働き方の多様化、そして新型コロナウイルスの影響など、様々な要因によって加速されています。特に、デジタル化とAI技術の発展は、採用プロセス全体を大きく変革させ、より効率的で効果的な人材獲得を可能にしています。
本記事では、これらの最新トレンドや業界別の動向を詳細に分析し、人事担当者や採用責任者の方々にとって、今後の採用戦略を立てる上で参考になる具体的かつ実践的な情報を提供します。急速に変化する採用市場において、いち早く新しいトレンドを把握し、自社の状況に合わせて適切に対応することが、優秀な人材の獲得と組織の持続的な成長につながります。
読者の皆様が最新の採用トレンドを理解し、自社の採用戦略をより強化・最適化するためのヒントを得ていただければ幸いです。変化の激しい採用市場において、常に先を見据えた戦略的な採用活動を展開することが、企業の持続的な成長と競争力の維持につながるのです。
近年、多くの企業では人手不足などを理由として採用に課題を抱えています。少子高齢化の影響で、特に若年層の採用がより一層難しくなると予想されています。そのため、企業は自社のニーズに合った人材を効果的に確保するための戦略を見直す必要があります。
また、採用で成果を出すためには、市場動向や採用手法のトレンドを把握することが重要です。
では、早速、新卒採用と中途採用の両方における採用手法のトレンドについて考察してみましょう。
日本の生産年齢人口(15〜64歳)は減少の一途をたどっています。総務省の「人口減少社会の到来」によれば、15歳から64歳までの生産年齢人口は、2020年の7,341万人と比べて2025年には7,085万人と256万人減少する見込みです。
これにより企業が採用できる人材の絶対数が減少しています。その中で優秀な人材は限られてるため、企業同士で争奪戦となっています。
そのために市場動向を把握した上で、戦略を立て、その戦略に沿った採用手法を選ぶことがこれまで以上に重要になってきているのです。
人手不足に実態についてはこちらの「人手不足が深刻な理由と今後の対策:業界ごとに解説」の記事で詳しく解説しましたので、是非参考にしてください。
新型コロナウイルスの拡大を受けて、オンライン採用が完全に定着しました。その後、コロナがひと段落していきた現在もオンライン採用は定着したと言えます。
企業説明会や面接、適性検査などのプロセスがオンラインで実施されるようになり、学生と企業の双方にとって利便性が向上しました。オンライン採用のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
・地理的制約の解消
・コスト削減
・効率的な選考プロセス
・データ分析の容易さ
一方で、対面でのコミュニケーションの機会が減少したことによる課題も指摘されており、オンラインと対面のハイブリッド型採用も増加しています。
例えば「2023年卒の採用活動における『オンライン』の導入状況」に関する企業調査によると、オンラインでの採用活動を実施したことがある企業は約7割にのぼることが報告されています。さらに「就職白書2024」でもオンライン面接を実施した会社は69.3%に上ることが報告されています。
一方、同じ「就職白書2024」によると、オンライン面接の実施率は前年と比較すると3.3ポイント減少した一方、対面面接が前年から5.1%増加して94.1%となっており、対面回帰の動きも一部見られることがわかります。
一方でオンラインの個別企業説明会・セミナーは前年比で81.3%で1.1ポイント増加し、採用プロセスとして定着している様子がわかります。
リクルートワークスの「中途採用実態調査」によると、中途採用で欲しい人材を確保できない企業は依然多い実態が報告されています。 2025年度の見通しでも採用意欲は高い状態であるとのことです。
2024年度上半期の中途採用では、必要な人数を確保できた企業は40.3%にとどまり、確保できなかった企業は57.8%に達したと、同じ資料は報告しています。前年度からやや改善されたものの、人材確保は依然として困難な状況です。
ほとんどの業種において、必要人数の確保が厳しい状況ですが、特に大きなマイナス幅を見せたのは、飲食店・宿泊業、情報通信業、建設業、運輸業でした。
このように人材確保に苦労する企業が多い現状ですが「人材確保の方法とアイデア:企業施策と取り組み事例から学ぶ成功のコツ」の記事では人材を確保するために企業ができる事柄について考察しました。
人材獲得競争が激化する中、新卒採用市場においても大きな変化が見られています。トレンドや市場動向をひとつずつ取り上げながら、今後の展望み見ていきたいと思います。
「就職白書2024」で報告されている2024年卒学生の就職活動のデータから、新卒採用市場における求職者側の傾向が見えてきます。
就職活動の成功率:
2023年11月時点で、89.4%の学生が就職先を確定させています。このことから、この年の就職活動が比較的順調に進んだことが分かります。
内定取得の効率化:
学生の内定取得の平均社数が前年から増加したにもかかわらず、応募の活動量が減少していることから、学生はより効率的に就職活動を行っていると考えられます。インターンシップを通じて企業や業界を事前に研究し、志望企業を絞り込む求職者が多いことを示しています。
面接選考の傾向:
対面での合同説明会や面接の実施数が微増しています。対面でのコミュニケーションの価値が再評価されているとも考えられます。一方、Webでの説明会や選考はわずかに減少傾向にあります。一部で対面形式の面接に回帰する動きが見られます。
インターンシップの役割:
インターンシップが応募企業の絞り込みに重要な役割を果たしています。企業と学生の双方が早期に接点を持つことで、より適切なマッチングが促進されていると考えて良いでしょう。
学生はインターンシップ等に参加して業界・企業研究を進め、応募企業をある程度絞って応募している可能性があります。
さらに、同じ資料では第1志望群に入社する学生が64%に上ると報告されています。
このようなことから学生が狙いを定めた就職活動をしていることが窺えます。新卒学生を取り込みたい企業は今後も、学生に選ばれるための採用活動を工夫していく必要があります。
「就職白書2024」の報告に基づいて2024年卒学生の就職活動のデータをもとに採用プロセスの開始時期について見てみましょう。
内々定・内定出し開始時期の早期化:
2024年卒の採用プロセスは、これまでの年と比較して全体的に早まっています。企業はより早い段階で内々定や内定を出す傾向があり、特に卒業年次前の段階での活動が活発化しています。
2024年卒採用では「卒業年次前年2月までの累計」が18.6%、前年から6.6ポイント増加
「卒業年次5月までの累計」は76.1%で、前年から7.3ポイント増加
採用活動の早期化は長期的なトレンドです。例えば2017年卒と比較すると、「卒業年次前年2月までの累計」は2020年卒から12.5ポイント、2017年卒から17.4ポイント増加し、「卒業年次5月までの累計」も2020年卒から9.7ポイント増加しています。
今後もこの傾向が続くと見られます。
競争の激化:
採用プロセスの早期化は、企業間の人材獲得競争が激化していることを示唆しています。特に前年の採用で苦戦を強いられた企業が、優秀な人材を早期に確保しようとしている可能性があります。
面接の早期開始:
Web面接の普及により、対面面接と比較してさらに多くの企業が2月以前に面接選考を開始しており、選考全体のデジタル化とリモート対応が進んでいます。
「卒業年次前年2月までの累計」で対面の面接は26.%、前年から8.9ポイント増加
Web面接は35.3%で、前年から9.6ポイント増加
このように企業の採用プロセスが年々早期化しています。企業が採用活動の全体的なスケジュールを前倒ししているのです。今後も早期化が進む可能性があります。
これは企業にとっての採用競争が激化していることを示唆しており、就職活動を行う学生にとっても早期の準備がますます重要になることが予測されます。
学生・企業ともに、インターンシップを就職・採用活動につなげる機会と捉える動きが見られます。「就職白書2024」では以下のような傾向が報告されています。
企業側
・インターンシップ等の実施目的として「入社意欲の高い学生を絞り込む」 ことや「入社後の活躍や定着を促進する」など採用を意識したものが増加傾向
・8割を超える企業で、内定者の中に自社のインターンシップ等参加者がいた
・採用数に占めるインターンシップ等参加者の割合が3割超
学生
・7割以上が、インターンシップ等参加企業または同業種に入社予定
・78.3%が、インターンシップ等と 採用選考との関係を認識
このことから、インターンを実施する企業側にとっても、参加する学生にとってもインターンの役割が大きくなっている様子が分かります。
インターンの参加率と実施率についても見てみましょう。同じく「就職白書2024」の報告をみるとインターンシップ等参加率は約7.5割で高止まりしており、一方企業のインターンシップ等実施率はコロナ禍を受けて一旦60%台まで低下したものの、ここ数年で回復傾向にあることが分かります。
求職者である学生側、採用する側の企業、双方にとってインターンが重要な位置を占めていることが分かります。
スカウト・オファー型採用といったダイレクトリクルーティングも増加傾向にあります。「就職白書2024」によるとスカウト・オファー型の採用は34%に上ります。
前年と比較した増加傾向にあるもの
・採用直結と明示したインターンシップ等からの採用:前年比で6.7ポイント増の19.6%。
・スカウト・オファー型の採用:前年から3.5ポイント増の34.%。
・大学・大学院卒業後3年以内の既卒者の採用:3.4ポイント増の31.2%。
・リファラル採用(社員などからの紹介を通じた採用):3.3ポイント増の21.1%。
「採用直結と明示したインターンシップ」や「スカウト・オファー型の採用」は、特に従業員規模が5,000人以上の企業で増加幅が大きく、「採用直結と明示したインターンシップ」は11.7ポイント増と大きな伸びを示していることも報告されています。
このように「採用直結と明示したインターンシップ等からの採用」や「スカウト・オファー型の採用」といったダイレクトリクルーティングが増加しており、企業としても選考応募者数を単純に増やすのではなく、求める人材に自らアプローチして応募につなげたいという意向が表れています。
2022年11月に米国OpenAIが「ChatGPT」を公開したことで、生成AIの利用が広がり、就職・採用活動にも影響を与えました。
「就職白書2024」によると、就職活動において生成AIを使用した学生は14.5%で、主に「自己PRの作成」や「エントリーシートの添削」などで活用されていました。
しかし、使用に対して不安を感じる学生も42.7%存在しており、全体的には限定的な利用に留まっている様子です。
企業側では、新卒採用に生成AIを導入している企業は2.7%にとどまり、8.9%は今後導入を検討しているものの、導入・活用には慎重な態度が見受けられました。
新卒採用における生成AI導入状況
全体 | |
---|---|
全体 | 1,458 |
導入する | 2.7% |
導入予定だが、今後検討する | 8.9% |
分からない | 20.2% |
ただし、従業員規模別に生成AIの導入状況を見てみると大企業ほど導入に積極的な様子がわかります。特に従業員規模5,000人以上の企業では12.5%が「導入する」、6.5%が「導入予定」としています。
従業員規模別の生成AI導入状況
従業員規模 | 300人未満 | 300人~999人 | 1,000人~4,999人 | 5,000人以上 |
---|---|---|---|---|
導入する | 1.9% | 3.0% | 9.5% | 12.5% |
導入予定だが、今後検討する | 5.3% | 6.1% | 7.1% | 6.5% |
分からない | 72.8% | 58.0% | 51.1% | 51.1% |
今後、生成AIの性能や機能向上に伴って生成AIの導入に積極的になる企業は増えていくことでしょう。
中途採用でトレンドとなっている採用手法について、見ていくことにしましょう。
リファラル採用とは、企業が社員からの推薦や紹介を通じて新しい人材を採用する方法です。これにより、信頼できる社員のネットワークを活用して、能力や文化に適した人材を見つけることができます。
リファラル採用の主な特徴と利点は以下の通りです。
・信頼性の向上:
社員による推薦であるため、応募者のスキルや職場適応能力についての初期情報が多く、採用のミスマッチを減少させる可能性があります。・採用コストの削減:
リクルートメントエージェンシーの利用や広告費などのコストを削減できるため、結果的に採用コストを抑えられます。
・迅速な採用プロセス:
リファラルは通常、対象者についての情報が初めから具体的であるため、採用プロセスをスピーディーに進めやすくなります。
・社員のエンゲージメント向上:
社員が推薦・紹介した人が実際に採用されると、自身の貢献度を感じやすくなり、会社に対するロイヤルティやモチベーションが向上するとされています。
・企業文化への適合:
社員が推薦・紹介するため、その企業の文化や価値観に合致しやすい候補者が選ばれることが多く、職場環境に適応しやすい傾向があります。
リファラル採用を他の採用手法と組み合わせることが重要になる場合もあります。リファラル採用を成功させるには、社員に対して適切なインセンティブを提供し、透明性のある評価基準を設けることが効果的です。
アルムナイ採用とは、一度退職した社員を再度雇用する方法であり、「カムバック制度」や「ジョブリターン制度」として知られることもあります。この採用方法は、企業にとっても復職者にとっても利点が多いです。
企業側としては、既にスキルや社内文化を理解している人材を再び迎えることができるため、採用に伴うリスクが低く、応募者側も企業文化や業務プロセスを熟知しているため、ミスマッチが起こりにくいのです。
多くの場合、復職希望者は直接応募したり、以前の同僚からの紹介を通じて再入社したりします。あるいは、企業側から直接アプローチすることもあります。
採用コストが低く抑えられるというメリットがあり、さらに、復職者は即戦力となるため、教育にかかるコストも少ないという点も魅力的です。
ダイレクトリクルーティングでは企業が求職者の履歴書や職務経歴書などをみて、直接スカウトを行います。以下のような特徴があります。
・ターゲットの絞り込み:求職者の履歴書や職務経歴書を通じて、求める条件に合う候補者をより精密に選定できます。これにより、採用過程の効率化が図れます。
・迅速な採用プロセス:ダイレクトリクルーティングは、候補者を積極的に探し出してアプローチをかけるため、採用のスピードがアップします。通常の応募を待つ方法よりも、必要な人材を迅速に確保できる場合があります。
・個別アプローチ:候補者一人ひとりに対し、カスタマイズされたメッセージやオファーを送ることで、より関係性の築きやすいコミュニケーションが図れる点が特徴です。これにより、候補者の関心を引きつけやすくなります。
ダイレクトリクルーティングは特に、特定のスキルや経験が必要とされるポジションや、競争が激しい業界で効果的な手法とされています。企業が求める理想の人材を迅速かつ的確に採用するための現代的な方法として、多くの企業で採用されています。
新卒採用・中途採用ともにトレンドになっている採用手法がありますが、それぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていくことにしましょう。
求人サイトは、新卒者も中途採用者も利用できる手法として広く使われており、多くの企業にとって採用活動の中心となっています。このような「マス型採用」の媒体は、昔から主流とされており、今でも非常に人気があります。
多くの学生が就職活動の一環としてこれらのサイトに登録しているため、豊富な集客力を持っており、短期間で多数の学生を採用したい企業にとって非常に便利です。さらに、複数の求人サイトでは「スカウト機能」や「メッセージ送信」といった機能も提供されており、応募者からの反応を待つだけでなく、企業側から積極的にアプローチすることも可能です。
しかしながら、これらのサービスを利用する際には通常、事前に掲載料を支払う必要があります。多くの応募があり採用が上手くいった場合も、逆に広告効果が得られず採用に至らなかった場合も、費用は同額となるため、コストパフォーマンスを向上させるノウハウが重要となります。効果的な広告文を作るだけでなく、自社に合わない人材の応募を回避するための工夫も必要です。
求人サイトの代表的な例としてIndeedが挙げられます。
なお、Indeedの掲載料の仕組みについては、こちらの「Indeedの掲載料は?:仕組みや効果的な求人掲載戦略を解説」の記事では掲載料の仕組みを詳しくご紹介しました。
求人検索エンジンは新卒・中途の求人に対応しており、費用は無料で利用できますが、有料オプションもあります。この手法のメリットは、無料で求人情報を掲載できることと、多くの利用者がいることです。しかし、デメリットとしては、自社の求人情報が他社の中に埋もれてしまう可能性があり、クローリング機能を活用するにはある程度のIT知識が必要です。
インターネット上の様々な求人情報を横断的に検索できる便利さもあり、多くのユーザーに利用されているのも特徴。
ただし、求人情報が多く表示されるため、自分たちの求人情報が他の会社の情報の中に埋もれてしまうこともあります。そのような場合には「有料オプション」を利用することで、ユーザーの目に留まりやすくすることが可能です。
さらに、自社サイトを求人検索エンジンに表示する「クローリング」を活用するためには、一定の条件を整えて自社サイトを設定する必要があります。
求人広告が他社の情報の中に埋もれないようにするためにできる工夫については「プロがコツを伝授!求人広告の出し方について解説」の記事で詳しく扱いましたので是非参考にしてみてください。
人材紹介とは、企業が必要とする特定の人材を、人材紹介会社や転職エージェントから紹介してもらうサービスのことです。このサービスは新卒採用でも利用できますが、特に中途採用での利用が一般的となっています。
このサービスの利点として、事前に選別された人材を紹介してもらえるため、企業が求める条件に適した人材を見つけやすく、即戦力となる人材を効率的に採用できることが挙げられます。特に重要なポジションの採用に適しているといえます。
多くのケースで採用が決まるまで費用が発生しない「成功報酬型」の契約が取られるため、広告費の無駄を避けられることも魅力です。しかし、手数料の相場 は年収の約30%ほどとなっており、一人当たりの採用費用が高くなる傾向があるため注意が必要です。
また、人材紹介サービスの担当者の能力に依存することから、企業における採用スキルの向上や将来的な採用活動に活かせるデータの蓄積ができないこともデメリットです。
一般的な求人サイトに求人広告を出すだけでなく、自社のホームページや採用専用サイトに求人情報を掲載することも効果的な方法です。この方法は、広告のサイズやフォーマットに制限がないため、情報発信の自由度が高いというメリットがあります。また、以前紹介した「求人検索エンジン」との連携も可能である点が魅力です。
ただし、知名度のある企業でない限り、採用サイトを公開するだけでは応募者を集めるのは難しいかもしれません。したがって、Web広告や求人・転職サイトといった他の方法を併用し、多くのアクセスを確保する工夫が必要です。
手間はかかりますが、しっかりと戦略を立てて取り組むならば質の高い応募に繋がります。
採用サイトの運用のコツについては「採用サイトの徹底ガイド:料金・価格比較と選び方」の記事の中で扱っています。
人材派遣は、労働者派遣法に基づき、派遣社員を活用する採用方法です。従来から広く認知されている手法であり、現在も事務、販売、サービス、営業など多様な職種で利用されています。必要な人材を迅速に確保でき、短期間の契約が可能なため、業務量の急な増減に対応する手段としてニーズがあります。
さらに、派遣社員は直接雇用ではないため、社会保険や雇用保険の手続き、給与計算などの労務管理の負担を軽減できます。ただし、人材の選定は基本的に派遣会社が行うため、企業が直接採用する場合と比べて、ミスマッチが生じる可能性がある点には注意が必要です。
またコスト面でいうと、賃金に20〜30%のマージンを上乗せして支払う必要があります。その点も留意したいところです。
ダイレクトリクルーティングは、企業が求職者に直接アプローチする採用手法で、最近では新卒採用においても中途採用においても注目を集めています。企業側から積極的に働きかけることで、自社に適した人材を確保しやすく、潜在層へのアプローチも可能です。
新卒採用においてはインターン生を直接スカウトするなどの形での採用が増えています。
応募を待つ従来の手法と比べると、工数がかかる点が課題となります。採用の成功率を高めるには、質の高いインターンやセミナーの実施や、求職者ごとにメールの内容を工夫するなど、丁寧な対応と時間をかけた取り組みが求められます。
ソーシャルリクルーティングは、X(旧Twitter)やFacebook、InstagramなどのSNSを活用した採用手法で、近年のSNSの普及に伴い急速に注目を集めています。SNSの利用自体に費用がかからないため、従来の採用媒体と比べて低コストで採用活動を進められる点も魅力の一つです。特に若い層にアプローチしやすいことが特徴で、企業の認知度向上にもつながります。
しかし、効果的に人材を獲得するには、フォロワーを増やすなどして自社のSNSアカウントを育てる必要があり、時間と手間がかかります。また、SNSは炎上のリスクが伴うため、投稿内容には細心の注意を払いながら運用することが求められます。
ヘッドハンティングは、企業の中心となる幹部やトッププレーヤーなど、優秀な人材を引き抜く採用手法の一つであり、個別採用のトレンドとして注目されています。通常は、ヘッドハンティング専門会社を通じて、専門のヘッドハンターに依頼する形で進められます。
この方法の大きな利点は、転職市場には出てこないような優れた人材にアプローチできる点です。また、転職を考えていない人材にも接触し、採用の可能性を広げられることが魅力です。しかし、実際に採用に至るまで時間がかかることが多く、成功報酬に加えて、ハンティング活動にかかる契約金(リテイナーフィー)が発生するケースもあるため、採用コストが高くなる傾向があります。
想定される費用相場は、採用者の年収の30~40%程度とされています。
リファラル採用は、自社の社員などを通じて親族や知人を紹介してもらう採用手法であり、特に中途採用のトレンドとして注目されています。社員自身が候補者を選定するため、自社の文化や業務に適した人材を見つけやすいのが特徴です。
また、外部の採用サービスを利用せずに導入できるため、コストを抑えられる点も魅力の一つです。費用としては、紹介した社員へのインセンティブとして数万~10万円程度を支払っているところもあるようです。また、リファラル採用を支援するサービスを活用する場合は、その利用料も必要になります。
一方で、社員の協力が不可欠であるため、十分な紹介が得られない可能性があることや、関係性を考慮すると不採用にしづらいケースがあることが課題として挙げられます。
さらには、リファラル採用のみで母集団形成をおこなうことは難しいことが課題となります。既存社員やOBが転職希望者に直接アプローチをかけることが多いことから、一度にたくさんのリファラル採用を望むのはあまり現実的とは言えません。
アルムナイ採用とは、退職した社員と再びつながりを持ち、再雇用する採用手法であり、中途採用のトレンドとして注目されています。この方法の大きなメリットは、外部の採用サービスを利用しないため余計なコストがかからず、過去に自社での勤務経験があることから、即戦力として活躍しやすい点です。
さらに、他社での勤務経験を通じて得たスキルや人脈を活かせる可能性があり、業務改革や新たなネットワークの構築にも貢献することが期待できます。特に、役職者などの重要なポジションに適した人材を採用する際にも有効です。
しかし、導入にあたってはいくつかの課題もあります。まず、前回の退職理由が給与や勤務環境に関するものであれば、その原因を改善しなければ再雇用が難しくなる可能性があります。
また、再雇用に際しては、以前の雇用条件や現在の市場価値を踏まえた契約の見直しが必要になることが多く、より良い待遇を提示しなければ採用に至らないケースもあります。
さらに、在籍している社員への影響にも配慮しなければなりません。「一度退職しても簡単に戻れる」という印象を与えてしまうと、退職のハードルが下がり、離職者が増えるリスクも考えられます。そのため、企業側は職場環境の改善や日々のフォローを強化するとともに、アルムナイ採用の意図を社内でしっかりと共有し、適切に運用することが重要です。
インターンシップは、学生に実際の業務を体験してもらうことで、採用時のミスマッチを防ぐ手法として注目されています。口頭での説明よりも、自社の特徴や社風をリアルに理解してもらえる点が大きな利点です。また、選考活動とは異なるため、経団連が定める選考解禁日より前に優秀な学生と接点を持てることもメリットの一つです。
しかし、インターンシップを成功させるには、社内の受け入れ体制をしっかりと整えることが不可欠です。プログラムの企画や担当社員の選定など、事前準備に多くの時間と労力がかかるため、計画的な運営が求められます。
特に、優秀な人材を確保するためには入社後に必要となるスキル特化型のインターンが求められてくるため、教育人材の確保などの企業側の受け入れ体制も整えていく必要があるでしょう。
転職フェアや就活イベントなどの合同説明会は、新卒・中途を問わず、幅広い求職者と直接コミュニケーションを取る手段として人気があります。複数の企業がブースを構え、来場者に向けて説明を行う形式のため、自社を知らない求職者にもアピールできるのが大きなメリットです。
特に知名度の低い企業でも、多くの人と接点を持ちやすく、採用の機会を広げることができます。また、その場で面談を実施することも可能で、採用工数の削減につながる点も魅力です。
一方で、参加には約50万円〜の費用がかかり、運営スタッフの人件費などのコスト負担も発生します。さらに、パンフレットや資料の作成、ブースの装飾、搬入物の準備など、事前の準備にも時間と手間が必要です。当日の来場者対応をスムーズに進めるためには、担当スタッフの役割を明確にし、事前に打ち合わせを行うことが求められます。
採用市場の変化に伴っていろいろな採用手法がトレンドとなってきました。でも、いざ自社でどれかを取り入れるとなると悩んでしまうということがあるかもしれません。
また、採用手法を闇雲に取り入れるのも避けたいところ。
そこで、採用手法を選ぶ際に考えておきたい点などいくつか取り上げます。
新卒採用・中途採用ともに採用を成功させるためには、まず自社の方針や採用計画を明確にすることが重要です。トレンドの採用手法を取り入れても、自社の目的や戦略に合っていなければ効果は期待できません。そのため、採用を行う目的や求める人物像、採用ターゲット、予算などを具体的に決めることが必要です。採用計画をしっかり策定することで、自社に最適な採用手法を選択しやすくなります。
特に、採用したい人材の人物像を明確にすることは、選考の精度を高めるうえで不可欠です。
「営業職が欲しい」「ITエンジニアが欲しい」といった漠然としたニーズでは、選考基準を定めにくく、採用後のミスマッチにつながる可能性があります。
そのため、配属予定部署の上司や既存社員と連携し、求めるスキルや経験、資格だけでなく、業務に適した思考や行動特性についても検討することが大切です。例えば、「コツコツとした努力の積み重ねが得意なタイプか、それとも行動力や瞬発力のあるタイプか」など、内面的な要素まで具体的に整理すると、より適切な人材を見極めやすくなります。
また、ハイクラス人材の採用では、役員や社長クラスの協力が欠かせません。事前に求める人物像や配属後のポスト、雇用条件を共有し、面接時には経営層が同席することで、優秀な候補者に対する訴求力が高まり、採用交渉もスムーズに進めやすくなります。
求人情報の中身や利用している求人媒体を再検討が必要な場合もあります。特に求人サイトやダイレクトリクルーティングサービスを利用しているものの、なかなか応募がない場合や、採用ニーズとマッチした人材からの応募がなかなかないようなケースではターゲット層にきちんとリーチするために求人媒体を見直すことが必要かもしれません。
自社の特徴や採用ニーズを明確にするなら課題点が見えてくるかもしれません。
例えば、若年層の採用を検討しているならば、若年層がたくさん利用するような求人サイトで募集をかける必要があります。また、経験のある中堅層の中途採用を予定しているならば、そうした求職者が多く登録しているようなダイレクトリクルーティングサービスや人材紹介サービスを利用することで効果を上げることができます。
また求人情報に関しても、必須資格の記載や業務内容が具体的に記載されているか、といったことを定期的に見直す必要があります。
そうすることでマッチ度の高い応募を増やすことができます。一方で求人情報にあいまいさがあると、求めている求職者の条件から離れた応募が増えてしまい、無駄が増えてしまいます。
また、採用マーケティングなどを取り入れて自社の雰囲気やカルチャーを積極的に発信していくなら、ミスマッチを減らし、会社にぴったりの人材を惹きつけることにもなります。
中途採用を考える求職者の多くは在職中であり、限られた時間の中で転職活動を行っています。そのため、企業からの迅速なレスポンスは、求職者が予定を立てやすくなるだけでなく、企業に対する好感度を高める要因にもなります。
特に、ハイスペックな人材や採用が難しい職種に応募する求職者は、他社からも積極的に求められる存在です。早期にアプローチをしなければ、競争が激化し、他社で内定を得てしまう可能性も高まります。
したがって、応募や問い合わせがあった際には、できる限り迅速に対応することが重要です。スピーディーな対応を心がけることで、優秀な人材を確保するチャンスを逃さず、採用成功につなげることができるでしょう。
採用活動においては、一つの手法に依存するのではなく、「マス型採用」と「個別採用」をバランスよく活用するなど、複数の手法を併用していくことも重要です。 それぞれの採用手法に得手不得手があるからです。
例えば、マス型採用は、一度に多くの求職者にリーチできるため、短期間で複数の人材を確保しやすいのが強みです。また、求人サイトや広告を通じて企業の知名度を高め、幅広い層の求職者にアプローチできる点もメリットといえます。特に新規店舗のオープンや繁忙期の増員など、大量採用が求められる場面では非常に有効です。
一方、個別採用は、企業が求めるスキルや価値観にマッチした人材を採用しやすい手法です。SNSやリファラル採用を活用することで、特定のターゲットに直接アプローチでき、企業の魅力を深く伝えることができます。また、求職者とのコミュニケーションを重ねることで、ミスマッチを減らし、定着率の高い採用につなげることも可能です。
それぞれの手法には異なる強みがあり、どちらか一方に偏るのではなく、企業の採用目的や状況に応じて適切に組み合わせることが、より良い人材と出会うためのカギとなります。例えば、広く応募を募るためにマス型採用を活用しながら、特定のポジションでは個別採用でピンポイントなアプローチを行うといった戦略が有効です。
採用市場の変化に伴い、企業には柔軟な対応が求められています。従来の手法を軽視せず、複数の採用手法を適切に組み合わせることで、より効果的な採用活動を実現し、企業にとって最適な人材を確保することができるでしょう。
採用活動を成功させるためには、 市場動向を的確に把握し、自社の採用要件を整理することが不可欠です。しかし、これを実践するには相応の経験や専門的な知識が求められます。特に、採用課題を正確に分析し、最適な施策を講じるためには、人事担当者に高度なスキルが必要です。
また、採用課題を認識できたとしても、社内のリソースが不足しているために十分な対応ができないという企業も少なくありません。採用戦略の見直しや施策の実行には時間と労力がかかるため、特に中小企業や成長フェーズにある企業では、採用活動に十分なリソースを割くことが難しいケースもあります。
このような場合、 採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)や採用コンサルティングを活用することが有効な選択肢の一つとなります。
採用代行(RPO)の活用メリット
採用代行とは、企業の採用業務の一部または全体を外部の専門家に委託するサービスです。具体的なメリットとしては、以下の点が挙げられます。
採用業務の負担軽減
- 応募者の対応、書類選考、面接の日程調整などの業務をアウトソースすることで、社内のリソースを他の業務に集中できる。
- 採用活動がスムーズに進み、スピード感を持って優秀な人材を確保できる。ノウハウの活用
- 採用の専門家が最新の市場動向や効果的な採用手法を活用し、採用成功率を高める。
- 自社だけでは気づかなかった課題の発見や改善が可能になる。柔軟な対応が可能
- 必要な業務だけを委託できるため、自社の状況に応じたフレキシブルな活用ができる。
- 一時的な採用強化が必要な場合や、新卒・中途採用のピーク時に特に有効。
採用コンサルティングの活用メリット
採用コンサルティングは、企業の採用課題を専門家が分析し、最適な採用戦略や施策を提案するサービスです。以下のようなメリットがあります。
採用課題の可視化と戦略立案
- 採用活動のボトルネックを明確にし、根本的な課題解決に向けた戦略を策定できる。
- 採用ブランディングやターゲット層の見直し、選考プロセスの最適化など、幅広い改善が可能。データに基づく採用の最適化
- 過去の採用データや市場動向を分析し、科学的なアプローチで採用成功率を高める。
- 競合他社の採用手法を比較し、自社に最適な採用手法を導入できる。中長期的な採用力の向上
- 一時的な採用成功にとどまらず、社内の採用スキルを向上させることで、将来的に自社でより効果的な採用ができるようになる。
- 採用活動の属人化を防ぎ、組織としての採用力を高める。
採用代行は短期間で採用を成功させることに向いており、即戦力を確保したい場合に適しています。一方で、採用コンサルティングは 中長期的な視点で採用戦略を見直し、持続的に優秀な人材を確保するために有効です。
企業の成長フェーズや採用課題に応じて、これらの手法を適切に活用することで、効率的かつ戦略的な採用活動を実現できるでしょう。
採用代行(RPO)については「採用代行(RPO)とは?メリットと導入方法を徹底解説」の記事で詳しくご説明しています。
採用戦略を構築する際には、最新トレンドに追随するだけでなく、自社の文化や価値観、事業目標と一致させることが重要です。採用活動は入社後の活躍が真の目的であり、採用から育成まで一貫した戦略が求められます。具体的には、実際の業務に近い選考や入社前研修を通じて適合性を確認し、入社後のキャリアパスを示すことが効果的です。
また、今後の採用市場ではテクノロジーの進化が予想され、AIやバーチャルリアリティの採用が進む一方、個人情報保護の課題も浮上します。技術と人間的なつながりをバランスよく取り入れることで、優秀な人材を引き付け、成長し続ける関係を構築することが求められます。企業は、変化する市場動向を注視しつつ、自社の強みを活かした採用戦略を進化させることが成功の鍵です。
人材を採用するのは事業を伸ばし売上を伸ばすため。そのためには、どんな人がベストマッチなのでしょうか。私たちロケットスタートホールディングはお客様に「どんな人が採用したいですか?」とは聞きません。
会社の過去・現在・未来、強みや悩み、ビジョンや意志、などをしっかりお聞きした上で、必要な人材ターゲットを提案します。
そのうえで、地域情報や時期、求職者動向、などのデジタルデータをもとに、最適なメディアを使って、お客様だけの採用計画を立てていきます。
また、近年の採用メディアは、インターネット上のものが主流となっています。このため、アクセス数や検索キーワード、仕事を探している求職者の数などを数字で見て、根拠のある求人コンテンツを作成することが求められます。
でも、求人は「人」に対するサービス。データだけでなく、そこに、広告ならではの温かさや趣をかけ合わせることで、お客様だけの独自性のあるコンテンツを作成していきます。
ロケットスタートホールディングスは、IndeedシルバーパートナーとしてIndeed/Indeed PLUSを活用した採用成功への伴走支援を行っております。
※ IndeedシルバーパートナーはIndeedの定めた正規認定パートナーの証しです。
地域の特性や時期、採用ターゲットの特徴などによって、お客様に最適なプランを1社1社丁寧にご提案いたします。最適なメディアをご予算とご要望に合わせて。安心してご相談ください。